マリージャンヌ新作「オ ピエ ドゥ ロジエ」の秘密|スニーカーの香りとローズの融合

こんにちは!マリ―ジャンヌのアリスです。
今回はマリージャンヌのクリエイタージョルジュ・モーベルに、マリージャンヌの新作:ロジエについて語っていただきました!

ダイ・ダイさんとはどのように出会ったのですか? このコラボレーションはどのように始まったのでしょうか?

私はダイ・ダイさんと20年近い付き合いがあります。最初の出会いは、彼がパリで開催した初の個展でした。私はそこで、フランスの有名デザイナーにインスパイアされた彼の最初の絵画を購入しました。当時、私は写真制作会社を経営しており、監督や写真家、アーティストのマネジメントをしていました。最初から多くのプロジェクトで協力し、絆は深まる一方でした。当時は主にミュージックビデオを制作しており、例えばフランスのグループCtoCの楽曲「The Beat」のビデオでは、ダイ・ダイさんがストリートアート調のグラフィカルなアニメーションを手掛けました。この美学は、オ ピエ ドゥ ロジエのロゴにも受け継がれています。

また、JRというのアーティストとの共同プロジェクトや、マイアミでのアートバーゼル取材では、ストリートアートの巨匠たちと交流しました。ダイ・ダイさんは昔からこの世界に浸っており、ファッションへの情熱とスニーカー収集(超レアなコレクション所有)でも知られています。

さらに、彼は香水とも深い関わりがあります。ムエット(香水試香紙)をアート作品にリサイクルするプロジェクトを立ち上げ、マリージャンヌやロベルテ社のための彫刻も制作しました。ストリートアートは彼のDNAなのです。

ダイ・ダイ・トランが作成したナイキスニーカー

オ ピエ ドゥ ロジエのアイデアはどのように生まれたのですか? ダイ・ダイさんの役割は?

オ ピエ ドゥ ロジエは当初、実現しない可能性がありました。コロナ前、ダイ・ダイさんはナイキと協力し、デザインしたスニーカーを世界中の職人に送り、それぞれの専門分野でアレンジさせるプロジェクトを進めていました。例えば、靴を切り抜いてハットに変えるなど。これらの作品はオークションで販売される予定で、その際に特別な香水を添える構想がオ ピエ ドゥ ロジエの原点でした。しかし、パンデミックでオークションは中止に。

その後、私はこのプロジェクトを再開させました。あまりにも素晴らしい香水の構想だったからです。ダイ・ダイさんにボトルデザインを依頼し、共同で商品化することを提案しました。

「スニーカー」の香りにローズ・センチフォリアを選んだ理由は?

ダイ・ダイさんのナイキプロジェクトでは、ローズが重要なシンボルでした。靴の後部に「rose」(バラ)の文字、レース部分にはローズの彫刻、さらにプレキシグラスを使ったタグにもローズが用いられていました。ローズ・センチフォリアは、グラースを代表する高貴で希少な花。私にとっては、ローズ シソ同様、特別な原料です。最も愛している花です。

調香師カリーヌ・ヴィンション氏を選んだ理由は?

カリーンさんは若くて革新的な調香師で、型破りな香りに挑戦するのが好きです。このプロジェクトを楽しんでくれ、新しいものを創造することに熱意を燃やしていました。

香水の創作において重要なステップと直面した課題は?

私たち3人は、非常にユニークな挑戦をしました。「新品のスニーカーの合成された香り」を天然原料だけで再現するという挑戦をしました。まずカリーンさんにスニーカーの香りを嗅いでもらい、そこから創作が始まりました。

スニーカーアコードは独特でした。カリーヌはサフラン、マンダリン、オレンジブロッサム、ヤラヤラ、そしてアーモンドアコードでそれを作り上げました。特にサフランとマンダリンの組み合わせが、あの「プラスチック感」を生み出す鍵でした。この組み合わせは、合成原料のような印象を与えつつ、すべて天然成分で構成されているというのが驚きです。

ロジエで使用される原材料(順に):マンダリン、サフラン、スニーカーアコード、ローズ・センチフォリア、サンダルウッド

最も苦労した点は?

バランスの調整です。この香水の創作には5年間と200回以上の試作を要しました。私は特に妥協せず、何度も前に戻っては調整を重ねました。ある時は新しい方向性に進んだものの、結局以前のフォーミュラの方が良いと判断し、軌道修正することも多々ありました。

カリーンさんとダイ・ダイさんの情熱と忍耐がなければ完成しなかったでしょう。カリーンさんはこの型破りなプロジェクトに非常に興奮していましたし、ダイ・ダイさんも常にクリエイティブな意見を提供してくれました。

特にこだわった要素は?

まず第一に、マリージャンヌのアイデンティティでもある「原料の品質」には徹底的にこだわりました。しかしオ ピエ ドゥ ロジエは、これまでのマリージャンヌの香水とは一線を画しています。通常は1~2つの主原料に焦点を当てたシンプルなフォーミュラですが、今回は非常に複雑でクリエイティブな構成になりました。

パッケージデザインにも特別な注意を払いました。従来のマリージャンヌのシンプルなスタイルからあえて逸脱し、スクリーン印刷を施したボトル、オレンジ色に塗装したキャップ、バラをトロフィーのように持つキャラクターなど、一目で特別な作品だとわかるように設計しました。

オ ピエ ドゥ ロジエはどんな人に向けた香水ですか?

この香水は、自分らしさを表現したいクリエイティブな人々に向けた作品です。マリージャンヌが目指すのは、どこでも売れる香水を作ることではなく、真にユニークで予想外の香りを提供すること。オ ピエ ドゥ ロジエはまさにその理念を体現しています。

日本のファンへのメッセージ

日本の方々は独自性や細部へのこだわりを理解してくれると信じています。オ ピエ ドゥ ロジエの独創性が日本の皆さんにも伝わることを心から願っています。

最後に、この香水について何かお話したい逸話や詳細はありますか?

実は、この香水の命名には苦労しました。当初は「ローズ・バスケット」というシンプルな名前を考えていましたが、マリージャンヌらしくない名前が欲しかった。「Au Pied du Rosier(オ ピエ ドゥ ロジエ)」という少し謎めいた名前にしましたが、これが他の言語に翻訳する際に非常に難しいことが判明しました(笑)。


マリージャンヌ 担当:アリス
翻訳協力:松永

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