香りをめぐる冒険~ジャスミン編~
こんにちは。マリージャンヌのアリスです!
香りをめぐる冒険の第1回では、ラベンダーをご紹介しました。今回は、複雑な香りを持つ魅力的な花であり調香師ジョルジュ・モーベルのお気に入りの花のひとつであるジャスミンを紹介したいと思います!
ジャスミンは単なる植物ではなく、どの花よりもうっとりさせる官能的な香りの白い花です。
現存する何百種類ものジャスミンの中で、香水に使われるのは2種類だけで、今日
お話ししたいのは、フランス・グラースの「La Fleur」(ラ・フルール)と呼ばれ、センチフォリア・ローズと並んで君臨するジャスミン グランディフローラムです。
原産地はインド北西部ですが、ナイル・デルタの中心部でも栽培されており、考古学者は、何人かのファラオの墓からジャスミンの花を発見している通り、長年にわたって栽培されてきた花です。現在ではモロッコ、イタリア、そしてもちろんフランス・グラースでも栽培されています!
「バラは太陽に魂を捧げる。ジャスミンは星に。」〜ピエール・アン〜
ジャスミン グランディフローラムは磁器のように白い5枚の大きな花びらを持ち、まるで星のようです。その小さな花は、繊細でありながら、強力で酔わせるような香りを放ち、夜間にその姿を現します。開花期にジャスミンの茂みを通り過ぎると強烈な匂いに気づくはずです!
一日の時間を通して香りが複雑に変化していきます。
夜明けには、優しく緑色で軽やかな香りを放ち、正午には、灼熱の夏の太陽の下で、オレンジの花のように暖かくなり、夕方には、深みのある動物性の香りを放ちます。
ジャスミンは、その力強い芳香とユニークな個性で、世界中の調香師にとって尽きることのないインスピレーションの源であり続けています。香りのニュアンスが豊かなジャスミンは、大胆に官能に酔わせる花としても、繊細でありつつもうちなる官能を秘めた花としても扱われ、香水の核となるエッセンスとなっています!
そして、何を隠そうジャスミン グランディフローラムは、世界中の有名香水メゾンの作品で使われています。例えば、ローズやイランイランとの組み合わせは、シャネルのNo.5を生み出ました。ゲランのシャリマーでは、ジャスミンは常にローズと同じくらいの割合を占めています。セルジュ・ルタンスでは、さまざまな種類のジャスミンがブレンドされています。女性らしさの象徴であるジャスミンですが、ゲランは男性的な香水にも数多くジャスミンを使用しています。
グラースの街を象徴する花として、マリージャンヌにはジャスミン グランディフローラムを使用したアイテムがいくつかあるのでご紹介します。
「ジャスミン パチョリ」は、シプレーのアコードを持つ個性的な香水で、魅力的で繊細、そして並外れた香りです!
またキャンドルラインである「ジャスミン グランディフローラム」は、夏の夕暮れ時、花でいっぱいの庭をイメージしていて、一瞬にしてあなたをグラースへと誘うでしょう!
デリケートな抽出の技術
ジャスミンの香水は、大手香水メーカーがこぞって使用しているため、エッセンスは手ごろな値段で手に入ると思われるかもしれません。
しかし、ジャスミンの中でもジャスミングランディフローラムのエッセンスは世界で最も高価なもののひとつなのです!
ジャスミン グランディフローラムはデリケートな花で、非常に壊れやすいため、丁寧に扱わなければいけません。
その独特の香りを十分に楽しむためには、夜明けにジャスミンの花を摘み、すぐに処理しなければなりません。
ジャスミンの花を摘み取るには、適切な花を選び、その花やまだ咲いていない周りの花を傷つけずに切り離すという精密な作業が要求されます。経験を積んだ作業員であれば、朝の作業で2kg(約16,000輪)のジャスミンの花を収穫することができます。
しかし、たった600gのアブソルート(精油)を得るために、1kgのワックスが必要になります。
またこの1㎏のワックスを取る為には、約800kg(約6,400,000輪)の花が必要となります。
朝の作業が約6時間行われるので、2,800時間の働き、収穫しなければなりません…
ジャスミン グランディフローラムのエッセンスがなぜこんなにも希少なのかお分かりいただけたでしょうか?
かつて、ジャスミンの香りを抽出する最も一般的な方法は、冷浸法と呼ばれるアンフルラージュでした。水蒸気蒸留ができないデリケートな花(ジャスミンやチュベローズ)に使われてきました。
ガラスの表面に油脂を塗り、その上に花を置き、油脂に花の香りを完全に染み込むまで、おおよそ3ヵ月。
これにより香気成分を含む脂を得て、低温のアルコールで溶解すると、アルコールに香りが移り、そのアルコールを揮発させることで精油を手に入れることができます。
ジャスミングランディフローラム自体が希少な上に、香りの抽出方法も労力と時間が必要なので、非常に高価なものとなりました。
今回の香りをめぐる冒険~ジャスミン編~でも香水の都であるフランス・グラースへと誘ってくれました。
多くの香りで複雑に構成される香りと、夜に咲くジャスミンの香りを知ることで、ますますフレグランスを手に取る際の楽しみが増えることを願っています!
マリージャンヌ 担当:アリス
翻訳協力:竹本
#ジャスミングランディフローラム #香りの女王 #甘いフローラル系の香り #香りのある暮らし #香りのある生活 #香りを楽しむ #香り好き #香り家